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ブラックバス

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環境省面談骨子

・参考 スポーツフィッシングの普及

平成16年 8月2日

特定外来生物の選定に関して

ブラックバス(大口バス)を特定する事の不適正について

 

 日本全国の外来魚騒動の中心的存在にびわ湖問題があって、びわ湖レジャー条例のキャッチアンドリリース禁止を習った地方自治体も多くあります。そもそもびわ湖の外来魚問題を元から考えてみると、誰が問題定義を言い始めたのか、いつから大きな問題にふくらんで来たのか?検証してゆくと はなはだおかしな事がたくさん見つかります。

 

1. まず、びわ湖の固有主の重要性、生態系保全からの外来魚の移入問題をバス害魚論を強く訴える学者は唱えていますが、そもそもびわ湖の利用に関して、滋賀県水産課は サケマス類をはじめとして中国、マレーシア、欧米からところかまわず、水産資源として販売期待の出来る魚種を琵琶湖に持ち込んでいますが、(それらは結果的に幸か不幸か失敗に終わって、現在繁殖はみとめられていません。) 昭和43年当時の新聞記事にはっきりと記述されているとおり、マレーシアから移植の「オニテナガエビ」はイセエビより美味しいとされ、ブルーギルも食べておいしいと賞賛され、聞いたことも無いラッド、ケンヒーほか、樺太マス、紅ジャケなど 食物連鎖の頂点いる魚種も数十万尾、数百万粒という単位で移植放流されています。

 

 これらかつて移植放流された沢山の魚種は、びわ湖での繁殖に失敗したのですが、もし繁殖に成功していたら?? 現在、びわ湖の優良漁獲種になっていて、生態系保全論はいったいどうなっていたでしょう??

 バス害魚論を強く唱える中井氏は、滋賀県職員でいらっしゃいますが、もし上記の移植魚が滋賀県の優良漁獲魚になっていたら、「古来びわ湖はそこに住む人々と深い関係を保ち、。。。。。。etc. etc.」 滋賀県も、中井氏も 移入種害魚論は出てきてはいなかったでしょう。

 特に、ブルーギルに至っては当初の「皇太子が。。」 のちには「現天皇が持ち込んだ。。」等 口にしてはならない「タブー」扱いの時代があったにせよ、当初の「食べて美味しい」から 何時のまにか、USAでは食べる魚であるにもかかわらず、害魚にされてしまった経過は非常に不思議な興味深いものがあります。 資料の中にありますように びわ湖の淡水真珠養殖の手伝いに増殖されたブルーギルは 滋賀県自身、あまり話題にしたく無いようで、びわ湖の漁獲統計の中にも(近畿統計局資料) バスの水揚げはあるのに ブルーギルの名前は無く「その他の魚種」と名前を出さないように掲載されています。 

 

 また、当時ブルーギルを大増殖した当事者の漁業協同組合は、過去の失敗に触れようとせず、バスを筆頭にブルーギルもくっつけて 害魚論争を立ち上げ駆除にともなう漁業収入を「外来魚が在来魚を食って、いなくなった」とことさら強調することで 駆除事業収入の継続を推し進めてきています。

戸田直弘氏が書いた「わたし琵琶湖の漁師です」は、非常にうまく書かれており、一般の人々にとっては、琵琶湖の自然と生きる 純朴な漁師像が感じられるでしょうが、著書の各所に事実と異なる記述が巧みに込められており、すべてが漁師被害説から外来魚駆除事業、漁業補償につながりを見せています。

 

 たとえば、先ほどのブルーギルに関しても、147頁に 「ブルーギルが切符を買って貨物船に乗ってくるわけもない。。。。からはじまり「誰かが入れたんや。。」という論調が書かれていますが、35〜36年前のブルーギル増殖当事者が現在も健在な方たちが多くおられる事や、戸田氏自身がこの当事者達の子息である事等、ブルーギルの繁殖の経緯を知らないはずがありません。

 

 また、25頁に「琵琶湖では魚群探知機も集魚灯も禁止されているし。。」とありますが、琵琶湖の漁船のどれだけの数に魚群探知機がつけられているか、 琵琶湖の漁港に停泊する漁船をみるとすぐにわかることです。

コイト漁と称される刺し網漁でも頻繁に使われており、今や琵琶湖の漁師の大半が魚群探知機を使用しています。

 昨年琵琶湖の漁師に関連した事件がいくつか起きたひとつに、漁船のエンジン偽装があり大きく報道されましたが、最大級改造偽装エンジンをつけていたのも戸田氏です。著書の目次後に掲載した、アユ「沖すくい網漁」中の著者の写真の漁船がそうです。

 

 80頁のコイト漁(刺し網漁)これこそが 私達が一番在来種の死滅問題と危惧しているものです。

 従来コイト漁は戸田氏が著書の中で説明しているように、それぞれの漁獲対象魚に合わせて網の目を違えたもので仕掛けるのでしょうが、外来魚用に張られた網には(その網の規模も著書に記述はありませんが、読んだ人はせいぜい20〜30メートルくらいに想像するかも知れませんが、実際には 数百メートル以上にも及ぶものです。)

 網は掛かる魚を選べません。ナマズ、鮒、ほか沢山の在来種がかかってしまうのです。これらコイト網にかかった在来種には市場に売れない種類も多く、県に買い取られる外来魚(ブルーギルが大半で約10%内外がバス)の陰で放られているのが現状です。

 外来魚駆除事業が漁師に大金を払い在来魚を大量に死滅させているのです。今でも毎日。

 

 128頁には、バスの腹を裂いて、中から出てくる小魚を見せるところがありますが、琵琶湖のバス害魚論を展開するのに戸田氏、現漁連青年部会長鵜飼氏が常套手段として繰り返しやってきた手法は、取材や議員の視察に連れてゆくエリ(定置網)を決めていて、そこに入ったバスを長く入れたままにしておいて同じエリ内に入った小魚をたらふく食べるようにしておくか、またバスが入ってない時には50cmを超える大きなバスを他からこのエリに入れて長期間放置して、腹が喰った小魚でパンパンになったバスを裂いてみせる、巧妙なものでした。

 かつて、頻繁にマスコミに登場したこの手の報道が現在あまり見られないのは、当時報道に関係した新聞記者達がこの手法に気づいて 彼らから距離を置いた為です。

 それまで漁師の立場に寄った報道しかされませんでしたが、私達がいろいろな隠れた状況を伝え始めてから 報道の方達にもたくさんの隠された事実を理解いただけたようです。

 

47頁には、テナガエビの事、琵琶湖にはいなかった移入種であることを、戸田氏自身が書いていますが、漁師にとっては琵琶湖の固有種、生態系を重要視した論理は関係なく、市場に売れる漁獲対象種なら、同じ移入種であるワカサギ等と同様に漁師は歓迎するのです。売れればOKなのです。 

41頁には、琵琶湖の風物詩、オイサデ漁の事が書かれています。カラスや水鳥の羽を使って、子鮎を追って網にいれる、なかなか情緒のある漁です。

ところが、毎年春先にやってくるこのオイサデ漁の一団は、琵琶湖の波打ち際を歩いて移動してゆくのですが、その湖岸に位置するマリーナや施設に「お前らの桟橋がじゃまするから鮎がとれんやないか。」と一軒数万円を取ってゆくのが毎年の常で、かつては金を払わなければ 仲間で押し寄せて営業の邪魔をしたり、嫌がられていた集団です。

 湖岸を歩く連中はまだ可愛いもので、親玉級は 琵琶湖近くにマンションが建ったり、道路工事や水利工事に至っても「琵琶湖の水が汚れて鮎が捕れん様になる。損害賠償はらえ。」と数十万、あるいは工事によっては桁違いの金をものにするのが生業で、昨年はじめに、滋賀県漁連会長が県警に逮捕されたのも、この恐喝が数件表面化したものでした。

 新聞でも大きく報道されましたが、それまでは県工事の関係業者が県に相談をしても、「その分、工事代にのせとけや。」で終わっていたそうです。この逮捕事件により、先の水際集金はいっさいなくなりました。

 

 戸田氏は漁師になって20年と著書に書いています。

 私たちもびわ湖でバスフィッシングに関連して20年以上になります。びわ湖にお世話になって生活をしています。漁師さんと同じ あるいはそれ以上に毎日びわ湖の水に触れて暮らしています。びわ湖に深くかかわって生きているのは漁師さん達だけでなく、私たちバスフィッシングボートの関連者だけでもびわ湖を取り巻いて80件もいるのです。

 さらに釣り道具販売店、製造メーカー、輸入業者は、びわ湖地域だけでなく全国に及び、地元びわ湖ではガソリン、宿泊、コンビニ等、経済効果を受ける人たちは無数に関連しています。この度のびわ湖の「バスリリース禁止条例」に関連して、ボートの販売は、2〜3年前の10分の1以下に落ちこみ、既に廃業したボート販売業者も店じまいした釣具店も出ています。レンタル業のお客数も落ち込んでいます。 

 

滋賀県は漁業者には外来魚対策や鯉ヘルペス対策で多額の保障がすぐに組まれますが、私達の業界には一切の配慮はありません。納得できない事ばかりですが、それでも私達は自分達の収入の事のみを一番に考えることではなく本当にびわ湖の環境、将来を真剣に考えています。

 戸田氏の著書を槍玉にあげたようになり、戸田氏には申し訳ありませんが、現状のびわ湖の事実をご説明するにあたり、一番お解りいただけるものではないかと、参考にさせていただきました。

 

 先述のブルーギルも、長年の風評の為にすでに食材ではない存在にされていました。本来害魚でも何でもなくて、立派な食材であり、環境悪化に対応して小型で数が増えすぎた為にたまたま食害を起こしていますが、近年食材化の話も各所で起きてきています。

 今回ブルーギルが特定外来生物に指定されたら せっかく食材利用が進みつつあるのに「特定外来生物」なんて物騒な名前をつけられたのでは、ますます一般に受け入れられない魚になってしまいます。

 また、一番新鮮に利用される為の活魚輸送はどう扱われるのでしょうか?

 

 また、本日、8月1日付け京都新聞に「びわ湖の固定の泥に含まれる窒素、リンの含有量が18年前の1.5倍に悪化しており、夏季に湖水に溶け出して水質が改善されない可能性が大きい」と発表されました。

 元来ヨシが吸収還元するびわ湖の自浄能力が開発によって断ち切られた為だそうです。バス、ブルーギルを特定外来生物に指定しても 琵琶湖の水質は改善されず、在来種が昔の様に戻ることは、このままの行政では残念ながらあり得ません。

ここにご報告いたしました事はごく一部に過ぎません。「一般世論の流れ」と良く言われますが、一般世論こそ、一部の論説を報道が大きく伝える事で誘導されて流れが生まれて来たのであって、今回の特定外来生物の中に バスを入れるかどうかのこれまでの議論を見直してみると、

 

* 害魚論の学者諸氏 

 滋賀県職員の方であったり、滋賀県からパネリストとして依頼された方が 行政の方針で職務論を話される方ばかりです。

 

* 食害論の漁業者 

 本来、びわ湖の在来魚生態系に一番大きな負担をかけているのは その在来魚を取って収入にしている漁業者であるのに 「 生活の為やないけ 何が悪い 」と、漁業が生態系に大きく影響を与えている事の自覚が欠如していることが問題で、事実を認識したうえで、環境保全と併合した漁業を真剣に考え、補償に頼りすぎの現在の漁業からの逸脱することが最大の課題です。。 

 

* このほかの害魚論の人たちは 

 上記の学者諸氏の論調報道に、また漁業者被害者論に感化された人たちが 自分達の身近な環境悪化の危惧にびわ湖の問題を加えて、心配をされているのが現状で、隠された多くの事実を知ることになれば 果たしてどう感じられますでしようか?  

 

 本来、人と自然は古来より深い関係を持って共存してきているのに、今なぜか、「環境保全」や「生態系保全」だけが流行語のように取り上げられ、ことさらに歪んだ論争を続けている様にしか思えません。人の生活と自然、本来双方切っても切れない関係を出来るだけ皆に生かす為の論議が必要なはずです。自分達の私利、私欲を一番に押し出すのではなく、びわ湖(全国的には各地の自然)の環境改善、人の生活と切り離せない、自然の為でもあり人のためでもある自然生態系の本来あるべき姿を議論するテーブルが用意されるべきです。

 

 今回のような重要な案件を論議するには もっと時間をかけて、事実確認、実態調査等もっとしっかりとやっていただいた上で、より多くの関係者の意見を聞く時間をとっていただきますようにお願いいたします。

 

びわ湖の水辺より
滋賀県フィッシングボート共同組合員
樋上 佳秀

 

※注 上記の図又は資料はリンクしておりません。御了承下さい。

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